In-house SEO Meetup

インハウスマーケターのためのコミュニティイベント

ISM SEO ZERO 開催レポート

In-house SEO Meetup SEO ZERO

こんにちは、ISM 実行委員の高野です。

前回のイベントから 2 年弱の期間が開いてしまいましたが、In-house SEO Meetup では 2024 年 8 月 30 日に、「ISM SEO ZERO」を開催しました。

この回をもって、インハウスマーケター限定の勉強会スタイルでの開催は最後となるため、改めて SEO をゼロから考え直すというコンセプトで、株式会社 JADE の皆さんから学びの深いコンテンツを提供いただきました。

本レポートでは、イベントの流れを振り返りながら、当日の様子と学びをピックアップしてお届けしたいと思います。

オープニング / スポンサーセッション

まずは恒例のオープニングですが、今回で最後の開催になることに触れるアナウンスも発生しました。
私自身、主催者側ではなく参加者側だった頃から 10 年近くこのイベントに関わってきていたため、久しぶりの通常回リアル開催に興奮しつつも、寂しい気持ちを感じていました。

ただ一方で、本イベントの参加対象者を SEO を始めて間もない方(2 年以下を想定)、またその上長の方向けと設定していたため、来場していた中で初参加の方が 6 割近くいたことに驚きと嬉しさも感じていました。
とても印象的だったのは、顔なじみの参加者でも新人や若手の方と一緒に来訪されている例をちらほら見かけたことです。
皆さま、ISM を SEO 実践者どうしのハブとして活用いただき、ありがとうございます。

基調講演に移る前に、今回会場を提供いただいた株式会社セゾンテクノロジーの福泊さんによるスポンサーセッションがありました。

短い時間での会社紹介と主催イベントの紹介でしたが、とても豪華なゲストとセッション内容なので改めてこの場でも共有します。
セゾンテクノロジー HULFT Technology Days 2024

セゾンテクノロジーの皆さま、準備の段階から当日まで諸々ご協力いただき、ありがとうございました!

基調講演

株式会社 JADE のファウンダー長山さんによる貴重講演は、SEO とはどのような営みなのか?を本質に立ち戻って考える内容です。

冒頭で「僕もSEO初心者です」と述べる長山さんは、JADE 創業前は SEO 実践者とは逆の立場で、むしろ検索エンジンやプラットフォーム側の中の人だったという経歴があります。
Google 在籍時代には Webmaster Trends Analyst としてオフィスアワーを実施したり、ISM のイベントにも何度か登壇いただいていました。

今回の基調講演では、JADE 式 SEO として検索エンジンと検索ユーザー体験の両側面において、SEO で注視すべきポイントと指標を、同社が提唱する検索インタラクションモデルに基づいて紐解きました。
検索インタラクションモデルについては、以下の記事で解説されています。
検索インタラクションモデル概論-JADEが日々使うSEO分析フレームワークの話

検索エンジンモデル (DCIR)

まずは検索エンジンがサイトを扱う各ステップに沿って考えられた DCIR のモデルです。

  • Discover(URL の発見)
  • Crawl(クロール)
  • Index(インデックス保存)
  • Rank(ランク付け)

今回のイベントを開催するにあたって、前述の検索インタラクションモデル概論を再読して気付いたのですが、このモデルの優れた点の一つは指標もセットで提示されているところだと感じています。
なぜなら、検索エンジンが実行する各ステップの概念だけを知るだけでは不足で、それがどのような形で指標に表れるかまで理解しないと日々の実践に落とし込めないからです。

また、ある程度の規模のサイトであれば自動化やデータの肥大化も課題になってくるので、API や BigQuery と向き合う必要性も出てくるところですが、JADE では Amethyst というツールを開発して設定や管理の簡略化を果たしているとのこと。
インハウス担当者あるあるかもしれませんが、純粋に SEO のためだけの開発はリソース配分の優先順位が下がりがちな組織が多いと思うので、エンジニアリングの知見が無くても担当者自身で API や BigQuery のデータを扱えるのは助かりますよね。

検索体験モデル (QCLS)

続いては、検索ユーザーがサイトを見つけて接触する各ステップに沿って考えられた QCLS のモデルです。

  • Query(検索クエリの入力)
  • Click(検索結果のクリック)
  • Land(サイトへの来訪)
  • Surf(サイト内の回遊)

こちらも指標がセットで提示されており、利用するデータは Search Console の検索パフォーマンス レポートや GA4 等のアクセス解析データになります。
こちらも大規模サイトであればデータの抽出や精度が課題になりますが、Amethyst でも扱える(GA4 はベータ)とのことです。

個人的にもツールと指標の活用は、現状の把握や課題分析と定常監視をしやすくするので、SEO に限らずサイト改善推進の基盤を整えるうえで重要と考えています。
そのうえで、施策立案やユーザー理解に使える時間を増やして、講演の中で紹介されていたように検索ジャーニーに想いを馳せる等のビジネスに貢献できる改善に注力したいところです。

検索ボリュームではなく、「検索ジャーニー」でコンテンツを考える方法

講演の中では他にも検索エンジンに詳しい長山さんならではの観点から、より詳細なこぼれ話や補足もありましたが、このレポートでは主要なメッセージ部分のみを抜粋してお伝えしました。
基調講演への質疑応答では、長山さんがフットワーク軽く他の JADE メンバーにマイクを渡して回答を促すなど、エンターテインメント性もあって参加者の皆さんも楽しめたのではないでしょうか。

AMA(Ask Me Anything)

休憩を挟んで JADE の皆さんへの公開質問タイムです。
代表取締役社長の伊東さんがモデレーターとなり、基調講演に引き続き長山さん、そして小西さん村山さん山田さんが回答してくれました。
事前に募集した質問の範囲も SEO に限らず、アナリティクス、広告、コンテンツマーケティングまでを対象としました。

個別の質問と回答内容は参加者限定のお楽しみとさせていただきたいので、それ以外の部分で所感を書きます。

まず質問に関して、前日まではとても数が少なくて心配していましたが、長山さんの基調講演と質疑応答で考えが整理されたり触発された方が多かったのか、AMA の最中にも続々と投稿されていました。
一部軽めな質問が入っていたのも印象的で、会の序盤から緩やかで温かい空気感で進行していたので皆さんリラックスして投稿いただけているのか、「JADE さんは怖くない」と感じているのだろうと思えました。

日頃から裏付けになるデータや事例と多く接しているためか、基本的に JADE の皆さんの回答は力強く、安心感を与えてもらいました。
伊東さんが元々はインハウス(ISM 実行委員でもありました)だったためか、社外と社内の観点を入れ替えた回答を織り交ぜつつモデレートしてくれたのもありがたかったです。

JADE の皆さん、楽しい中にも深い学びがあるコンテンツを提供いただき、ありがとうございました!

クロージング / ネットワーキング

ここからクロージングと恒例の記念撮影を挟んで、ネットワーキングに移行します。
司会の三澤さんからにおわせ発言があった通り、実は年内にインハウス担当者に限らずコンサル側の方も参加できるオープン形式のイベント開催を検討しています。
インハウス SEO のミートアップではないため、通常回としては今回でラストにはなりますが、今回参加できなかった方も含めて最後に盛り上がれる場を作れるよう頑張りたいと思います。

ネットワーキングの時間は JADE の皆さんへの追加質問や参加者どうしの交流もあって何よりだったのですが、やはり天候の不安があったためか早めに帰宅される方も多く、その点は少し心残りです。
ぜひ今回だけの場で終わらせるのではなく、ハッシュタグ等も利用して、他者との出会いを継続的な繋がりとして活用いただければ幸いです。
ISM が皆さまのハブになって、SEO の業界を盛り上げられることは何よりも主催者冥利に尽きるところです。

イベント全体を通して

最後の最後にオープン企画が残っているのもありますが、イベント中「これで終わり」という感覚が無く、ずっと「いつもの感じ」で運営に集中していました。
こうして開催レポートを書いていても「楽しかったなぁ」という気持ちが前面にあり、不思議と寂しさは感じていません。
顔なじみの方も初めましての方も、とても楽しそうに参加されていたので、そのおかげで元気を貰えたからかもしれませんね。

このレポートを最後まで読んでくださった皆さまにも、当日の様子を一部お届けします。

皆さま、約 14 年間 In-house SEO Meetup を応援いただき本当にありがとうございました!
実行委員一同、お礼申し上げます。

またどこかで出会った際には仲良くしてください。
それでは、ごきげんよう!