In-house SEO Meetup

インハウスマーケターのためのコミュニティイベント

ISM LT 祭り 2022 開催レポート

しわーっす!(挨拶)、ISM 実行委員の高野です。

2022年も残り少しですね。「クリスマスに一番欲しいものは休息」と言いたいぐらい疲れているので、年末年始はゆっくり休みたいと思います。
去年のレポートでも同じことを書いていました)

さて、In-house SEO Meetup では 2022 年 12 月 23 日に、9 年連続となる LT 祭り(※)をオンラインで開催しました。(※ LT とはライトニング トークの略で、短い時間でのプレゼンのこと)

今回のレポートでは各セッションの紹介を、私の感想も添えてお届けしたいと思いますが、合計 16 セッション分と長いので、1 つずつ感想と実況をまとめていきます。
(実況ツイートが多くて読み込みが重たすぎたので、画像にしてる箇所もあります)

スポンサー セッション:デジタルシフト 鈴木さん

テーマ:SEO の実装の問題をツールを使って解決する!

スポンサー セッションでは、ここ数年の恒例としてデジタルシフト鈴木さんと掛け合い形式でお話しました。

今回のセッションで紹介したのは ClarityAutomate という、ページ内の HTML を書き換えられる JavaScript のツールです。
Page Optimizer という機能により、SEO に関係する基本的なタグ(title, description 等)や構造化データだけでなく HTML 上の色んな要素を書き換えたり追加したりできます。

利用している CMS の制限でハード コーディングが変更できない場合や、施策の本実装前の簡易的なテスト実装という用途でも利用できます。
現在デモをさせてもらっているので少し触ってみたのですが、個人的には後者の用途が便利そうに思いました。

インハウス SEO あるあるとして、施策の実装には以下のようなステップが必要になるはずです。

  1. 施策の効果予測
  2. 費用対効果の判定(事前)
  3. エンジニアへの説明と実装依頼
  4. 実装後の効果検証
  5. 費用対効果の判定(事後)

例えば Google による title タグ書き換えの対策であったり、新しい構造化データのテスト実装のような場合であれば、上記のようなステップを踏もうと思うと費用対効果が見合わず優先順位が下がりがちになります。
そこを SEO 担当者と、場合によってはフロントエンドのエンジニアの人的リソースでテスト実装できるのは、一定規模以上のサイトであればメリットが大きいと感じました。

仮に特定のディレクトリでテストして効果が出なかった場合は元に戻せば良いですし、効果が出た場合は試算が立てやすくなるので本実装の優先順位が付けやすいです。

また、HTML 上の要素(テキスト等)を変数として利用できるのも動的サイトには嬉しいところです。
Google タグマネージャーを利用している人であれば、ある程度すぐに操作はできると思いますので、もし気になった方がいればデジタルシフトさんに問い合わせてみてください。(こちらから問い合わせ可能とのことです)

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LT #1:フジイ ユウジさん

テーマ:情報流通とかコンテンツデリバリーとかいんたーねっつとかの話

LT 1 人目は Web 界隈でインターネット好きとして有名なフジイさんです。
この年末はブログを書きまくっていて、はてなブックマークのホット エントリー入りも数本しているので、アイコンに見覚えのある方もいると思います。

今回の LT においては、ピックアップしたスライドのページにフジイさんのメッセージはほぼまとまっているのですが、その結論に至るまでの寓話がユニークなセッションでした。
事業の担当者が陥る、以下のような状況をストーリー仕立てで熱を込めて解説してもらいました。

  1. 良いプロダクトやサービスやコンテンツがあっても、ユーザーに発見されないければ存在しないのと同じ
  2. 一方で、露出のみを KPI としても品質が伴っていないと成果が出ない状況になりがち
  3. コツコツと適切なオーディエンスに届け続ける積み重ねは、社内での理解を得にくい
  4. 結局のところ、売り上げに寄与しているかどうかが社内では重視されがち
  5. そこで、品質よりもデリバリーという分かりやすい手段に頼ってしまう

この負の循環に対してのフジイさんの答えが、冒頭のスライド画像に凝縮されています。
昨年の LT 祭りのラストで楽天の工藤さんが語ってくれたメッセージにも通じる部分がありつつ、インターネット全体を俯瞰的に観測しているフジイさんならではの実務的な観点もあり、参加者の皆さんに深い問いを投げかける LT でした。

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LT #2:無所属 石井さん

テーマ:マーケティング従事者240人に聞きました【2022年版】

コンサルもインハウスも経験のある石井さん。最近では GA Operator という肩書で活動中です。

今回の LT では昨年に引き続き Web マーケティング業界でのアンケート調査を共有してくれました。
しかも前回よりも対象数が大きくなっており、

  • インハウス担当者 240 人
  • 支援側の担当者 120 人

という規模での調査を実施していただきました。
(これを個人で実施するとは…)

調査の項目は、それぞれ以下の通りです。

  1. 好きなポケモン
  2. 組織の人数
  3. 担当業務
  4. 昨年比の予算規模
  5. 今年の注力業務
  6. 利用ツールやサービスの種別
  7. 業務の悩みや課題
  8. 重要視している指標
  9. 来年の注力業務

アンケートの結果を受けて石井さんが気付いた内容もサマリーとして記載されている立派なレポートなので、ポケモンのネタに時間を使い過ぎて半分ほどしか触れられなかったのが悔やまれます。
(イベント参加者は、アンケート回答でダウンロードいただけました)

こういった調査は単発だと現状の分布の把握にとどまりますが、継続して実施すると推移も見れるので、昨年と連続で参加いただいた方は調査結果の比較も楽しんでみてください。

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LT #3:サーチサポーター 敷田さん

テーマ:コンテンツマーケティングの新しい景色を

昨年に引き続き登壇いただいた敷田さん
今年はコンテンツ マーケティングの今後について展望を語りました。

序盤では、複数の書籍執筆に関わっている敷田さんならではの平易な語り口で、直近のコンテンツ マーケティングを取り巻く環境やトレンドの変化、そして今後起こりうる状況について解説してくれました。

  1. 検索エンジンのアルゴリズムの変化
  2. SNS におけるタグ検索(タグる)
  3. スマートフォンへのシフト
  4. AI 生成コンテンツ
  5. パーソナライズ

その前提を踏まえたうえで敷田さんが重要視するのがピックアップしたスライドの内容です。

情報(コンテンツ)を発信するうえで自社の存在目的や存在意義といった「パーパス」、そして企業哲学や意気込みの開示を適えるためのストーリー テリングが、これからのコンテンツ マーケティングでは重要だと優しく伝えていただきました。

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LT #4:ピクスタ株式会社 櫻田さん

テーマ:メンバー全員が気持ちよく取り組める!ブランディングをスムーズに推進する3つのポイント

LT 4 人目は ISM 実行委員から櫻田さんの登壇です。
現在担当しているサービスである fotowa でのブランディングの取り組みについて語ってくれました。

インハウス(事業者側)の観点として、個人的に印象深かったのは、ブランディングが目指すものの以下のような定義です。

  • 全接点で顧客が受け取る情報が「常に一貫」していること
  • 全ての情報に「fotowa らしさ」が反映されていること
  • 「fotowa らしさ」を情報を通じて「知ってもらうこと」
  • 「知ってもらうこと」で fotowa の「ブランド」をつくること

櫻田さんも LT の中で触れていましたが、社内におけるサービスへの共通認識を形成できると施策の品質や実施速度が改善します。
また、情報の一貫性というのは検索エンジン(SEO)の領域に限らず、それ以外の各プラットフォームにおいても機械が理解しやすくなるので、社内外の双方にメリットがある活動だと言えます。

実際のスライドでは具体的な競合比較調査の経緯や、その結果を受けての方針立てなど、年間を通じてブランディングを実践してきた詳細な学びを共有してもらえました。

実は、キャリアの変化により SEO とは離れた領域を担当し続けていること等から、今回で櫻田さんは ISM 実行委員を卒業することになりました。
すみれ先輩、ISM 実行委員に入りたての頃に優しく励ましてくれてありがとうございました!
卒業しても我々は同じコミュニティにいるので、ぜひまた色々とお話しましょう!

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LT #5:株式会社じげん 田代さん

テーマ:SEO初心者から成果を出すためにやったこと

株式会社じげん田代さんには、再現性を高めるためのフレームワーク活用術を語っていただきました。

もともとは業界 No.1 サイトと自社の比較を SEO に関連する複数の指標で比較していたところ、その全てで負けていたために、施策の即効性や難易度で優先度を判断していたとのこと。
それで成果が出ないことから比較対象を複数の競合サイトに広げ、順位との相関が低い項目を除外したり、その他の項目でも短期~長期まで施策の設計を組み立てたそうです。

SEO に関わって 2 年目で 100 施策(!?)をリリースしても結果が出せなかった状況を経て、現在では複数の事業で SEO の戦略設計を任せられるようになった田代さんの競合分析と施策立案のポイントは、具体的には下記の通りです。

正確な 3C 分析

  • 複数競合サイトの数値を見る
  • 伸ばし方を段階的に捉える

テキストでは説明しづらいので、スライドの画像を部分的に引用して補足します。

複数競合サイトの数値を見る
伸ばし方を段階的に捉える

施策の優先度設定は海外カンファレンスでも話題になるホットなトピックですが、国内のインハウス側で実践している事例が開示される機会はレアなので、思わず聞き入ってしまいました。

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LT #6:株式会社JADE 山田さん

テーマ:Land&Surf分析って何?どうやって分析するの?

山田さんの LT は、直近で JADE が提唱しているフレームワークを利用するための詳細解説でした。
自己紹介スライドでは ISM 出身 / ISM 育ちと記載いただいたのに、肝心の中の人ツイートで誤字ってしまい申し訳ありませんでした…。
(ISM のイベントきっかけで JADE に入社されたそうで、素晴らしいエピソードでした)

前提として、JADE 社のフレームワーク(検索インタラクションモデル)を簡単に解説すると、以下の通りです。

検索エンジン向けの領域

  1. Discover(URL の発見)
  2. Crawl(URL の巡回)
  3. Index(URL の索引付け)
  4. Rank(URL のランク付け)

※ このトピックに関しては直近でマンガ付きの公式解説がアップデートされたので、用語が不明確な方はぜひ参照ください
developers.google.com

検索ユーザー向けの領域

  1. Query(検索語句の入力)
  2. Click(検索結果のクリック)
  3. Land(対象サイトへの来訪)
  4. Surf(対象サイトでの回遊)

山田さんが詳細な事例も含めて解説してくれたのは、後者の「検索ユーザーが自社サイトに来訪した後」の行動改善の例でした。

検索エンジンに限らず、高度なアルゴリズムを利用するプラットフォームと向き合うにあたって、重視すべきは規定だったり既知の個別指標ではなく、ユーザーとのエンゲージメントと言えます。
そのエンゲージメントを「何をもって判断するか?」が各プラットフォームの違いを生み出してもいるわけですが、ハック志向であった SEO 業界において、ユーザー行動の観察の重要性がトピックに取り上げられることが近年の動向において象徴的だと感じました。
(後日、詳細の解説記事を自社ブログで公開予定とのことです)

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LT #7:温泉旅館チェーン 永井さん

テーマ:Webで客数を増やすマーケティング・フレームワーク活用のポイント

最近は個人活動として MBA の大学院に通っているという永井さんの LT は、昨年とは視座が異なる内容でした。
具体的には社内がメインのトピックから、市場がメインのトピックでの再登壇です。

この LT で語られたのは、以下の内容でした。

  1. マーケティングのフレームワークの 1 つである 4P 分析のデジタル マーケティングへの応用例
  2. 上記を利用した具体的なターゲット選定の実例

アクセス解析の著書を出版されてる永井さんならではの観点で、Web マーケティングの現場が求めるユーザー像と実際に利益に貢献するユーザー像の違いを解説していただきました。

印象的だったのは、アクセス解析やデジタル広告を実践してきた永井さんが具体的なユーザー像を描くために古典的なフレームワークを経由することを推奨していたことでした。
これは全く悪い意味ではなく、視座が変わって抽象度を高めたい状態になった際には CPA など個別の指標を追う姿勢から目線が変わって、市場そのものをどう捉えるか?や、顧客の全体像に意識が向く好例だと感じました。

LT 祭りに限らず、継続して参加されてる皆さんとの交流から、こういった心境の変化をうかがえるのも本イベント参加の醍醐味ということを思い出させていただきました。

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LT #8:株式会社ウェブジョブズ 丸山さん

テーマ:サイトの質を上げる!ツールに振り回されない分析のポイント

QA Analyticsの開発を手がけている丸山さんからは、アクセス解析についての問題提起がありました。(書籍も出版されています)

具体的な問題提起の内容は、「ツールを使いこなすからサイトの質が上がる」のではなく「サイトの質を上げるために何が必要かを自ら判断し、ツールに振り回されない」ことが重要ということです。

私も日々の業務の中でアクセス解析に触れることはありますが、それ以外にも検索に関連するデータや顧客データベースのログに触れることもあります。
「ユーザーの行動の結果として○○が発生しているのでは?」という仮説が無い状態で大量のデータに触れても、答えが見つかる確率は非常に低いと実感しています。

丸山さんの LT で象徴的だったスライドをピックアップしましたが、データの中から情報を得て、そこから知識や知恵に変換していくのは人間の仕事です。
今年の大きな動向として GA4 への移行問題が発生していましたが、有償版のユーザーで他の製品群との連携を重視しているわけでなければ、ツールに振り回されることなく、冷静な観点で自身の本当に求めているツールを選定するということも大事なのではと考えるきっかけになったのではないでしょうか。
(とはいえ、その選定をする目利きも難しいものではあるのですが)

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LT #9:アユダンテ株式会社 宮下さん

テーマ:ページネーション、最適化してますか?

アユダンテ宮下さんからは、このイベント唯一のテクニカル SEO 領域のトピックです。

少し話が前後してしまうのですが、同社の江沢さんから今回のイベント向けに「いちばんやさしい」シリーズの書籍(SEO / GA4)を頂戴したので、オープニングで参加者の皆さんにプレゼントしました。
ISM 初参加なのに、全社を代表してじゃんけんに参加していただいた宮下さんには、この場を借りて感謝いたします。
(もちろん書籍をいただいた江沢さんにも)

さて、宮下さんの LT ではページネーションを適切に実装することで検索流入を増やした事例を 3 つ紹介いただきました。

  1. 2 ページ目以降の 正規 URL 変更(1 ページ目 → 自ページ)
  2. クロール可能なリンクへの変更
  3. 無限スクロールから通常のリンクへの変更

技術的な内容については上記に Google 公式ドキュメントへのリンクを貼っておいたので、興味のある方はご確認ください。

Google 検索がサイトの URL を発見する経路として、サイト内外からのリンクとサイトマップがあるのですが、この LT ではサイト内のリンクをクロール可能にするために構成を変更し、実際に成果を出した実例を分かりやすい図解付きで解説されていました。

このスライドを自社に持ち帰ってエンジニアに確認してもらうだけでも、もしかしたら救われるサイトもあると思われる実践的な内容で、参考になった方も多かったと思います。
(いつかまたテクニカル SEO 回をやりたいです)

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LT #10:ネットショップ作成サービス 長谷川さん

テーマ:手抜きしてない?記事コンテンツで画像を工夫したランキング改善事例

昨年の所属とは異なり某ネットショップ作成サービスに転職された長谷川さんからは、記事コンテンツにおける画像利用の工夫例を紹介いただきました。

要点はピックアップしたスライド画像にまとまっているのですが、個人的に興味深かったのは「流し見対策」と「独自性」です。

1. 流し見対策
自身の検索体験を振り返っても、特に「○○とは」系の検索では記事コンテンツに遭遇しがちです。
その際に、検索結果や記事内に表示される画像が分かりやすいものであるかどうかで、その記事への接触態度が変わります。(クリックするか、離脱するか等)

2. 独自性
事実としてある程度確定していて、テキストだけでは似たような内容しか表現できない情報を扱う場合、図解など他の表現手法で差別化を図れることがあります。
そのため、検索結果でもサムネイルが表示されている場合は画像が分かりやすそうなサイトをクリックしがちではないでしょうか?

上記の 2 点を踏まえると、画像というコンテンツがユーザー体験に及ぼす影響が実感としてイメージしやすいかと思います。
一方で、これは CMS とブログ文化の功罪かもしれないのですが、「アイキャッチ画像」という文化によって「記事には何らか画像を入れるものだ」という認識が出来上がっているために、長谷川さんが LT で指摘していたような「なんとなく」で入れている、情報理解の助けにならない画像が存在しています。

この内容について、直後の白砂さんの LT でも触れていきます。

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LT #11:株式会社A-can 白砂さん

テーマ:コンテンツSEO、KV(キービジュアル)結構大事かもよ!?

A-can白砂さんには、スクロール ヒートマップを利用したファースト ビュー改善について解説いただきました。
(登壇前にクリスマスのノリで自宅にあったサンタ帽を被せてしまい、大変失礼しました)

具体的には、記事の以下の要素を見直したことでスクロール率が大幅に改善したという事例です。

  1. キービジュアル(アイキャッチ画像)
  2. タイトル(見出し)
  3. コンテンツ構成

検索者の体験やジャーニーを大事にする白砂さんらしいアプローチで、

  • この検索をするのは誰か?
  • どんな情報を求めているのか?
  • それを受けて記事には何を掲載すべきか?
  • ファーストビューで要点が伝わるように、どう工夫すべきか?

といった項目の具体的な改善手法を紹介してくれました。

SEO のみに携わっていると忘れてしまいがちになるのですが、ユーザーの体験というのは検索エンジン上や自社サイトのランディング ページだけではなく、色々な面(サイトやプラットフォーム)と点(タッチポイント)を繋いだ線(ジャーニー)で構成されています。

検索エンジンが評価する「良いコンテンツ」というものは、それらを総合的にオンラインで測って相対評価されるので、ユーザーに寄り添うアプローチの有効性を改めて実証し、伝えていただいた素敵な LT でした。
(ちゃんと検索順位も劇的に上がったとのことです)

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LT #12:株式会社StoreHero 黒瀬さん

テーマ:プラットフォームを使い倒してECで売上をブーストする方法

EC サイトのグロースを支援するStoreHero黒瀬さんからは、検索エンジン以外のプラットフォームも組み合わせて圧倒的な成果を出した事例と手法を紹介いただきました。

詳細な内容はイベント参加者限定とさせていただくのですが、以下のようなステップでサービスやブランドのファンやオーディエンスを構築し、プラットフォームごとの特性を利用しつつムーブメントを創出するという流れでした。

  1. SNS でのコミュニケーション
  2. 広告を利用したリーチ
  3. 継続的なタッチポイントの創出
  4. プラットフォーム横断のアプローチ
  5. UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
  6. 盛り上がりのコントロール
  7. 上記全てで接触できたユーザーへの再アプローチ
  8. それに加えた検索エンジンへの配慮(適切な Web ページ運用)

今回のイベントで、登壇者の募集テーマを SEO を軸としつつも Web マーケティング全般に拡大した理由として、黒瀬さんが話してくれたような内容が SEO 担当者の皆さんのビジネス観点での参考になると思ったのが最大の要因です。

我々が SEO をする理由は、コンテンツやサービスに接触してもらう機会を増やすためです。
なぜ機会を増やしたいのかは、集客であったり認知のためです。
ただし、その接触の機会において体験が良くなければ再訪など次のステップに進む機会を損なうことになります。

黒瀬さんの施策例で紹介されていたような、高度に各プラットフォームを使い倒すアプローチを考えるためには、ここまでの LT で触れられてきたようなユーザー理解や市場・ビジネス理解が求められるので、伏線回収のような流れで、個人的にはとても気持ちの良い LT でした。

ただ、今回のイベントはそれだけでは終わりません。ここから組織やキャリアを扱うテーマに移行していきます。

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LT #13:株式会社MonotaRO 牛島さん

テーマ:SEO専任エンジニアチームができて何が変わったか?をエンジニア視点でふりかえる

業務用の商品を扱うモノタロウのエンジニアである牛島さんには、チーム体制の話をしていただきました。

組織の体制や決裁の流れによって、施策進行が滞りがちになるのはインハウス SEO 担当者のあるあるだと思います。
また、SEO の推進が属人的にならないようにするためにも、後進の育成やノウハウの蓄積といった継続的な活動が必要になってきます。
個人的にも課題感を持っているトピックだったので、首がもげるほど頷きながら拝聴しました。

牛島さんの事例を自分なりの認識にまとめると、以下のような経緯でした。

  1. 組織として SEO への意識はある
  2. 他の案件と並べると開発の優先度が上がりづらい
  3. エンジニア側でも危機感を覚えたので SEO 専任の部隊を作った
  4. SEO 専任のプロデューサーを配置した(組織横断の SEO チームにした)

とはいえ、SEO というエンジニアにとってニッチな領域を把握しているメンバーもおらず、ノウハウ共有や進行の工夫を実践したとのことです。
牛島さんの姿勢で素晴らしいと感じたのが、これらの推進をしっかりと実施している点でした。

自社の状況に置き換えて考えてみても、エンジニアとの会話で困るのが「何故やりたいんですか?」という質問です。
エンジニア側が別にイジワルで聞いているわけではなくて、目的や背景が分からないとコードに落とし込めない(設計しづらい)のは理解していますし、要件定義がそのままコード設計に反映されるので、エンジニアこそ前提を大事にするのは理解しています。
とはいえ、SEO の話って複雑かつ不明な要素が多くて明確に説明しづらいんですよね…。(テクニカル領域は別ですが)

そんな中、エンジニア主導でこういった体制を作ったのは素敵な取り組みだと思います。
ぜひ、その後の経過も ISM のイベント等でシェアいただけると嬉しいです。

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LT #14:アドビ株式会社 加納さん

テーマ:自身のSEO対策でアドビに転職した話

アドビ加納さんには、転職にあたってのキャリア整理と採用担当者へのアプローチ方法について解説いただきました。
具体的には、「SEO 担当者」というニッチな職能を「ニッチ商品の売り方」と捉え直して、SEO 的なアプローチで求人サイトの LinkedIn(外資系を志望につき)で露出を高めた方法です。

転職の前に自身のキャリア形成のために「コンテンツ対策」と称して、事前に求人内容をリサーチしたうえで、「必須経験・能力」欄などから企業のニーズを考察し、自身のスキルと照らし合わせた後に副業や英語学習などを実践した点が、まずは印象的でした。
SEO 担当者であれば、業務で市場や競合の調査は実施するはずですが、ヒトをコンテンツに置き換えて適用するのは衝撃的な発想だと感じました。

そこからさらに、LinkedIn で募集されている職種を分析し、利用されているキーワード(採用側の検索クエリ)を適用しつつ、多言語対応(日本語と英語)でアプローチした結果、現職への採用に繋がったとのことです。
こうした対策には、キャリアの棚卸しや方向性と肩書の整理、そして検索者(採用側)への配慮が重要です。
まさに SEO の発想をそのまま転換して利用できるメソッドなので、気付きに繋がった参加者も多かったのではないでしょうか。

過去には ISM Career と称してインハウス SEO 担当者のキャリアについて語ったイベントもありましたが、やはり現職で一定以上の実績を達成した後に意識するのはキャリアだなぁ、と年の瀬らしく自省するきっかけをいただきました。

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LT #15:株式会社JADE 村山さん

テーマ:シン・SEOと△と私

JADE村山さんからは、過去の ISM で登壇いただいたキャリアに関する LT の振り返りと現在の認識についてお話いただきました。
熱血 LT 祭り、当時は参加者側で非常に感銘を受けたのを覚えています)

2017 年はアユダンテに在籍し、広告とのコラボレーションを通して機械学習やアセット(利用できる資源)という概念を自身のキャリア形成に組み込んでいた村山さんは、個人でのスキル拡張において 1 点のみのスペシャリストではなく、掛け合わせ(三角形)のスキルセットを伸ばすことで自身のユニーク性を担保することを目指していると語っていました。(意訳)

そして 5 年後の現在において、その当時と変化した点や学びを共有してくれました。

  1. SEO:プロダクトのグロースへ
  2. ADs:運用へ
  3. Analytics:定量と定性へ

良し悪しの話ではなく、状況に応じて皆さんも行き来すると思うのですが、業務においては上流(立案側)と下流(実施側)という概念が存在します。
キャリアを経るにつれて、志向や思考や嗜好が変わってきた村山さんは、個人だけでなく組織での拡張を意識するようになったようです。(ピックアップしたスライド)

僭越ながら同い年の身として、わかりみが激しすぎるタイムリーな内容で、「ぐぁぁぁあーー」と頷きながら聴いていました。
この数年、個人的に意識している「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」というフレーズがあるのですが、個人からチーム → チームから組織に志向が移る気持ちが湧くフェーズって、人によっては起こるものだと思うんです。
(状況に応じて早くと遠くの使い分けもしますが)

直前の牛島さん・加納さんからの流れで、参加者の皆さまに現状の業務(個人)→ 組織形成&キャリアというレイヤー跨ぎの学びに繋がるきっかけがあったら嬉しいなと思います。

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イベント全体を通して

今回の LT 祭り、前年に引き続き支援(コンサル)側の皆さんにも登壇いただきつつ、扱うテーマの拡大ができたことでの多様さ、トピックの深みが増したと個人的には感じております。
なので、前年よりもさらに学びの深い構成になったと思っています。(想いや経緯はこちらの登壇者募集記事に記載しました)
スポンサーであるデジタルシフト様に、この趣旨を快諾いただけたこと、この場を借りて心より感謝します。

個人的な振り返りで恐縮ですが、思えば ISM 実行委員に加入したきっかけは現 JADE 在籍の伊東さんが支援側に転職するにあたって、ISM を卒業する飲み会の席でした。
(ISM 創設者の三澤さんに騙されて呼び出されました)

その直後のコロナ禍の爆発的な広がりによって対面のイベントが制限され、今回の LT 祭りが初めてのオフライン運営経験になりました。(オンラインでは何度かあります)
参加者の皆さまには私が不慣れであったり、運営側のリアル開催が久しぶりなための配慮不足な点などあったと思いますので、この場を借りてお詫び申し上げます。

そのうえで、個人的に申し添えたいのは、似た興味関心のある仲間が同じ場所で同じ空気を吸って楽しく学んで繋がれる場は、やはり最高だなと感じたということです。
ぜひ今回に限らず引き続き ISM を活用いただいて、皆さまの参加目的を達成できると嬉しいですし、我々運営メンバーもその助けになれると幸いです。

さて、ここで当日の様子をお伝えするため、参加いただいた方のツイートを一部紹介させてもらいます。(当日のツイート全体はこちら

LT 祭りに参加いただいた方も、そうでない方も。インハウス担当者の方も、支援会社の方も。このイベントやツイート、開催レポートを通して少しでも元気で明るい気持ちになっていただければ嬉しいです。

次回の In-house SEO Meetup も開催が決まりしだい Twitterfacebook で告知しますので、引き続きフォローをお願いします。

最後になりましたが、久々のリアル記念撮影の画像を紹介します。
今回のようなリアル開催が続けられるよう、また人と人の温かい交流が取り戻せるよう、切に願っています。
上がるかも委員会やりたいです)


皆さま、また来年も In-house SEO Meetup をよろしくお願いします。

それでは、ごきげんよう!メリークリスマス🎅